2024.05.15 損保ジャパン トライボテックスと業務提携 6月に「デバンカー保険」発売 船舶燃料不良検知し対応費用を補償

 損保ジャパンは4月17日、トライボテックス㈱(川畑雅彦代表取締役社長)と海運事業者が船舶に供給した燃料油の性状不良に起因して抜き取りが必要になった場合の対応費用(デバンカー費用)を補償する新たな保険サービスの開発を共同で進め、6月をめどに販売を開始すると発表した。
 近年、船舶に供給される舶用燃料油の性状不良による機関事故が多発しているという。2018年にはヒューストンで供給された燃料油が約150隻の航行に影響を及ぼし、22年にはシンガポールで供給された燃料油から塩素化炭化水素が検出され約200隻が航行に影響を受けた。
 こうした粗悪燃料油による機関事故は舶用エンジンの損傷を招く危険性があることに加え、粗悪燃料を船主に供給した定期用船者(注)はデバンカー(補油した燃料油が船内で使用不能になった場合に、本船の燃料タンクを開けるために、本船から燃料油を陸揚げすること)の費用の賠償責任を負う可能性があり、深刻な経済損失が懸念される。
 トライボテックスは1981年創業で、「摩擦・摩耗・潤滑を扱う技術のトライボロジーを通じ、社会に貢献する」ことをミッションに掲げ、機関の潤滑状態および油の劣化や汚染状態の分析・評価・診断・対策立案および状態監視システムの研究・開発・販売を行っている企業。損保ジャパンとトライボテックスの両社は4月1日に業務提携を発表し、トライボテックスの潤滑油診断技術によりタイムリーに機関の状態を監視し、機関故障につながる突発的な異常を捉え、海難事故が発生する前に対応できる体制構築をサポートし、さらに、予兆を検知したことに起因して発生した対応費用を損保ジャパンの船舶保険で補償することにより、高額な損害発生の抑制に貢献することを目指していくと発表しており、今回の「デバンカー保険」の発表となった。
 「デバンカー保険」では、トライボテックスのセンサーを本船燃料タンクに設置し、給油された燃料油が性状不良と検知した場合に、①粗悪燃料の積み降ろし費用②燃料タンクの清掃費用③粗悪燃料の廃棄費用―の費用を損保ジャパンが保険金として支払う。トライボテックスのセンサーにより機関事故の防止を図るとともに、船体に応じた商品設計により、合理的な保険料を実現するという。また、「デバンカー保険」は従来型の舶用燃料油(重油)を対象としているが、将来的には植物油等のバイオマス燃料への活用も視野に、さらなる商品開発を進めていくとしている。
 近年、船舶の大型化に伴い重大な海難事故のリスクが増加しており、経済損失防止および自然環境保護の観点からも安全な運航にはより一層の対策が求められている。海難事故における保険金請求の約半数は機関故障によるものとされており、機関故障の防止に向けてさらなる予防策の必要性が高まっている。
 両社は提携を契機に、トライボテックスの潤滑油診断技術を活用した新たな社会価値の創造として、従来の船舶保険とは発想を変えた「予兆を検知したことに起因して発生した対応費用」をカバーできる商品を提供することで、機関故障を防止し、海の安全を確保することに取り組むとともに、機関故障によって生じる物流停滞と自然環境への影響を未然防止することで、Wellbeingな社会の実現を後押しするとしている。
 (注)船舶運航の一契約形態で、一定の航海区域内で数カ月から数年の間、貨物を運送するために船舶を用船(貸し借り)すること。

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