2024.05.30 日本生命 米国年金市場に本格進出 コアブリッジの株式20%取得へ 海外事業比率15%に上昇

 日本生命は5月16日、米国の生命保険会社コアブリッジ・ファイナンシャル(ケビン・ホーガンCEO。以下、コアブリッジ)および同社親会社のAIG(ピーター・ザッフィーノ会長兼CEO)との3社間で、日本生命がコアブリッジの発行済株式20%分を取得することについて同日付で合意したと発表した。日本生命の出資金額は約38億3800万米ドル(約5950億円、1米ドル=155円換算)で、手元資金で対応する。関係当局の認可・届出等の手続きを経て、2025年2月末までの取引完了を目指す。日本生命グループの出資としては、国内外含めM&Aとしては最大規模となる。
 日本生命では本件出資を通じ、コアブリッジの価値向上のため、AIG、コアブリッジとの間で戦略的なパートナーシップを構築していく。なお、20%の出資によりコアブリッジは日本生命の持分法適用会社となり、同社では年間約900億円のグループ基礎利益への貢献を見込んでいる。日本生命の海外事業比率は足元の4%から約15%に向上する。
 コアブリッジの本社所在地は米国テキサス州ヒューストン。同社は、個人年金、団体年金、生命保険等の多様な事業を展開しており、個人向け年金事業(60%)、団体向け年金事業(20%)、生命保険事業(10%)、機関向け事業(10%)の内訳となっている(カッコ内は23年度の調整後営業利益ベースの割合)。とりわけ個人年金マーケットでは長期にわたって高いプレゼンスを誇っており、米国トップ3(年換算保険料ベース/23年度)の位置にあるという。AIGは、22年9月に生命保険・年金事業を切り出す形で、傘下のコアブリッジをIPOしており、現在の株主構成は、AIGが約52%、ブラックストーンが約9.9%、一般投資家が約38%となっている。
 23年度の同社の財務状況は、▽総資産:約54兆円(23年12月29日時点の為替レートで換算)▽総収入:約2.7兆円(23年1―12月の為替レート平均値で換算)▽調整後営業利益:約4500億円(同)▽税前利益:約1300億円(同)。最近の調整後税前営業利益の推移をドルベースで示すと、20年:31.94億米ドル、21年:36.85億米ドル、22年:28.54億米ドル、23年:31.93億米ドルとなる。
 日本生命では今回の出資の背景・狙いについて、「国内における中長期的な人口減少による影響が懸念される中、事業基盤の分散や安定した収益機会の獲得に資する海外事業に取り組む意義は大きいと認識している。①中長期的な契約者配当の一層の充実②十分なサービスの継続提供③グループ事業全体の収益拡大を通じた財務健全性強化による長期的な保障責任の全う―といった契約者利益の最大化の実現に向け、国内事業の多角化とともに海外事業の拡大に取り組んでいる。本年度からスタートした中期経営計画(2024―2026)でも、海外事業の拡大を戦略軸の一つとして、既存事業の成長および新規出資による事業規模の拡大に向けた取り組みを進めている。これまでは市場規模の大きな拡大が見込めるアジア新興国を中心に事業を展開してきた一方、米国等の先進・安定マーケットへのエクスポージャーが少なく、リスク分散や海外の成長市場からの収益獲得の観点からも海外事業ポートフォリオの強化・改善として、米国生命保険会社への出資機会を模索してきた。23年10月に米国にも事業基盤を持つレゾリューションライフへの追加出資を行うとともに、世界最大の市場規模を誇り、今後も安定的な成長が見込まれる米国市場への本格進出に向け、新規出資の調査・検討を継続、今回のコアブリッジへの出資はその一環となる。海外事業の中心軸となる事業基盤を米国に確立するとともに、事業ポートフォリオの地理的分散が進むことで長期安定的な経営が可能になるものと考え、米国年金市場におけるリーディングプレーヤーであるコアブリッジへの出資の判断に至った」と説明している。
 日本生命では米国市場(年金領域)の動向・見通しについて、「退職貯蓄市場全体としては、退職後の老後資金への不安等を要因とした資金確保のニーズを背景に、今後も継続的に拡大していく見通し」としており、「個人年金市場は、金利の高まりを背景に定額年金市場が好調であり、足元で市場規模が拡大。今後の金利の緩やかな低下を想定も、年金の主要加入層の人口は増加見通しであり、市場規模の継続的な拡大を見込む。団体年金事業領域についても、老後資金に対する不安やインフレ進行による平均所得の増加を背景に過年度より成長しており、運用商品の多様化等もあり、今後の継続的な成長を見込む」としている。

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