2024.06.06 「ヤマップネイチャランス損害保険」設立 アウトドア保険を販売開始 ビッグデータ活用した新たな保険提供

 金融庁は5月21日、㈱ヤマップネイチャランス(沖縄県名護市、木村彰宏代表取締役社長)に保険業法第3条第1項に基づき損害保険業の免許を付与した。同社は免許取得後、「株式会社ヤマップネイチャランス損害保険」(以下、ネイチャランス損保)に商号変更した。資本金は10億円で㈱ヤマップ(福岡県福岡市、春山慶彦代表取締役CEO)が100%株主。登山・アウトドア向けウェブサービス・スマートフォンアプリ「YAMAP」を運営するヤマップがシリーズDラウンドで総額20.4億円(Debt含む)の資金調達を実施し、その資金でネイチャランス損保を設立したもの。YAMAPプラットフォームに蓄積されたビッグデータを活用した新しい損害保険を提供していくとしており、5月28日からヤマップが保険代理店となりアウトドア保険の販売を開始した。
 5月28日、ヤマップ代表取締役CEOの春山氏が新会社設立の背景について、ネイチャランス損保代表取締役の木村彰宏氏が新会社や販売する商品の概要について記者会見で説明した。
 ネイチャランス損保がリリースした商品は、日常のケガからアウトドア活動中の遭難救助費用まで幅広く補償することに加え、目撃情報収集サービスを付帯した「外あそびレジャー保険」と家財とアウトドア道具を補償する「アウトドア家財保険」の2種類。
 「外あそびレジャー保険」は、救助費用を最大300万円まで補償し、ケガの費用も迅速に支払う。また、家族・グループでも加入でき、登山当日でもスマートフォンで簡単に申し込みが可能になる。さらに、遭難者の目撃情報をYAMAPユーザーと連携することで捜索に生かすという特長がある。
 「アウトドア家財保険」は、家具・家電、アウトドア道具の破損まで補償する。また、自然災害や第三者への損害賠償に備える特約の付加を選択できることに加え、ヤマップが展開するオンラインストアで購入した商品の場合は、より簡易な手続きで保険金請求が可能になることが特長となる。
 代理店のヤマップが損害保険代理業を通じて得た収益(代理店手数料等)の一部は、登山者の人命救助や遭難防止活動など登山道保全活動に充当するという。
 木村氏は、「ヤマップが持つテクノロジーやデータ、コミュニティーなどをお客さまのリスクの減少に加え、保険の力を減災などに活用していきたい」と述べた。
 ヤマップは2013年3月にサービスを開始したベンチャー企業で、「地球とつながるよろこび。」を企業理念に掲げアウトドア事業を展開している。同社が運営する「YAMAP」は、電波が届かない山の中でもスマートフォンのGPSで現在地と登山ルートを示すことで登山を楽しく安全にするアプリで、今年4月に累計430万ダウンロードを突破している。同社は、独立系オルタナティブ運用会社のMCPグループが運営する「九州発ジャパン・エボリューション・ファンド投資事業有限責任組合(JEF)」をリード投資家とするシリーズDラウンドで、第三者割当増資およびデッドファンドと金融機関からのベンチャーデッドを合わせ、総額20.4億円の資金調達を実施した。 
 今後は、ヤマップのプラットフォームに蓄積されている行動データを活用して、リスクに基づき保険料が変わるダイナミックプライシング型「テレマティクス保険」の開発を進める考えを示している。さらに、蓄積された遭難事故データをもとに、山岳遭難などアウトドア活動における事故を減少・抑制する保険商品を提供し、同社ならではのインシュアテックに挑戦し、「保険の加入者が増えるほど遭難事故が減る」という仕組みを確立して社会課題の解決に取り組むとしている。
 記者発表会で資金調達の完了と新会社設立を報告した春山氏は、これからの保険は行動データが重要になるとの見解を示した上で、同社に蓄積された行動データを保険にひも付けることで、ユーザーに最適な保険プラン、保険料を算出して提案する取り組みを自社で進めることが損保会社設立の背景だと述べた。
 同氏は、「ベンチャー企業による損保会社の設立は珍しいが、当社の挑戦は、保険業界に良質な一石を投じると思っている。行動データにひも付いた共助型の保険でアウトドアというニッチな領域ではあるものの、この取り組みを成功させ、多くの企業が真似したくなるような事業に成長させていきたい」と述べた。
 株式会社ヤマップネイチャランス損害保険の概要は次の通り。
 ▽本社所在地:沖縄県名護市字久志547番地5みらい5号館102
 ▽資本金:10億円
 ▽株主構成:株式会社ヤマップ100%
 ▽事業概要:損害保険業
 ㈱ヤマップの概要は次の通り。
 ▽会社名:株式会社ヤマップ
 ▽本社所在地:福岡県福岡市博多区博多駅前3ー23ー20博多AGビル6F
 ▽資本金(資本準備金含む)1億円
 ▽事業概要:①登山・アウトドア向けウェブサービス・スマートフォンアプリ「YAMAP」の運営②登山・アウトドア用品のセレクトオンラインストア「YAMAP STORE」の運営③日常もアウトドアも補償「YAMAPアウトドア保険」の販売④これからの登山文化をつくるメディア「YAMAP MAGAZINE」の運営⑤ガイドと登山者をつなぐプラットフォーム「YAMAP TRAVEL」の運営⑥自然特化型クラウドファンディング「YAMAP FUNDING」の運営⑦山・自然を活用したコンテンツ開発・コンサルティング・プロモーション等

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